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荻 悦子

荻悦子詩集「時の娘」より「湖」

湖 160年あまりも昔 ひとりの詩人が 湖を眺めにかよったという丘の上 記念碑のそばに座ると 黄色い野の花がそよぐ草原の先に 浮かびあがる湖 鈍い灰青色の湖面 ぽつりぽつりと小舟の帆 突風に襲われた病身の女性を 救った青 …

荻悦子詩集「時の娘」より「白馬」

白馬 内海の白浜を 疾走する白馬 ざわめき揺れあがる おまえの豊かなたて髪は 波よりも優美な白銀の流れ 砕ける波頭よりも繊細な 瞬時のきらめき カマルグの原野 潮のさす沼地に戻れば おまえの仲間とともに 闘牛の牛たちも放 …

荻悦子詩集「時の娘」より「空・旅」

空・旅 時雨去ったあと にわかに昏く 流れは オリーブ色にして蛇行して 後へ後へと尾をひく 墨を流した雲の波間に まだらに 地球の黎明期の 怪しい冷たい光 城 仄白く浮かびあがった と見る間に 暗い森の草木のざわめき 洞 …

荻悦子詩集「時の娘」より「果樹」

果樹 フェイジョアという果樹が初めて花をつけた朝は雨だった 母 は薄紙で包んだ一枝を私のランドセルの脇に差した 白い花びらに紅いしべ 小さいが肉厚な感じの見慣れない花の 枝は 教室の花瓶の花に混じっても人目を惹いた 担任 …

荻悦子詩集「時の娘」より「塊あるいは魂」

塊あるいは魂 手を触れるだけでばらばらと落ちる小さな舟型をした緑の植物 の塊 地に落ちた肉厚の塊のひとつひとつが残らず根を出し 朽ちて行く古い塊の先には見る間に数個の芽が花びら状に寄り 合って吹き出す おびただしく殖え続 …

荻悦子詩集「時の娘」より「ハチソン街・秋」

ハチソン街・秋   Ⅰ スーパーマーケットでクッキーを手にしたら 腰の曲がった老女がすり寄ってきて 濃い紅の口元をもぞもぞさせたが ベリ・スウィートしか聞きとれなかった あの老女が帰っていく先は 歩く人の足元に …

荻悦子詩集「時の娘」〜「果汁」

果汁 ふるさとのみかんを ジューサーにかける 滴り落ちる果汁の 香り高い優しさ なんて 安易な思い入れに 陥るのはよそう 銘ずべきは 季節のはしりを 送ってくれた 叔父夫婦の心根であって 果汁では まして メカニックな …

荻悦子詩集「時の娘」より「サンタ・ローザ」

サンタ・ローザ サンタ・ローザ 転がる 白木のテーブル 水を得てそりかえるポトスの蔓の下 サンタ・ローザ 転がる 田舎娘ローザが転べば 口笛のひとつも飛ばしてみたいが 尼僧姿ローザ様 転ぶとあらば やはり見ぬふりをするべ …

荻悦子詩集「時の娘」より~「あの野原」

あの野原 若葉をつけた木々の枝が 大きく揺れている 桜の花びらが 渦を巻いて舞っているわ ほら ゴッホの野のような渦の巻き方 花びらが待っているのに どうして わたし 厚いコートを着たのかしらね あ 花びらじゃなくて 雪 …

荻悦子詩集「時の娘」より~「市街図」

市街図 薄緑の街を 大男の司祭が スクーターで行く 英会話のレッスンでは プロテスト・ソングを歌わせる イフ アイ ハッド ア ハンマー 声を張りあげる生徒たち 東洋の島国の 小さな河口の町では 黒人の抵抗歌も 陽気に叫 …

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