林の木陰で目にした不思議な形をした紫色の花、これは日本の固有種キンポウゲ科の一年生植物で、有毒植物として広く知られる「ヤマトリカブト」です。亜種を含め、ほぼ全国に分布しており、学名はJAPONICUMと、日本に因んだ名前が付いています。

全体が有毒成分ですが、特に根っ子に有毒成分が多く含まれています。和名は「山鳥兜」、初秋から晩秋にかけてが花の時期で、その花の形が舞楽の時にかぶる冠(鳥兜)に似ている事に由来した名前がついています。

花は独特の形状で、花蜜を吸うには、管が細長く奥まで届かねばならず、マルハナバチ類が吸蜜に訪れ、この時ハチの腹部に花粉がついて受粉を手伝います。またこの紫色の花が放つ波長が、マルハナバチを誘い込む為の効果が有るとの説もあります。

毒の成分はアルカロイド、植物の中では最強の毒で、弥生時代には、すでに狩猟にトリカブトの毒が用いられていた様です。

山仲春男